A. 造園学原論および造園史
No.発表者発表題名要旨
A1平岡直樹(南九州大学)ヴェルサイユ庭園におけるトピアリーの形態と庭園構成に果たす役割についてヴェルサイユ庭園内に植栽されている約1200本のトピアリーの調査を行い、形態や配植の特徴を明らかにした。トピアリーは、主軸線上の大眺望の景観構成には大きく関与せず、宮殿を出て庭園の散策を行い、その帰路においてディテールを楽しむ場面でその魅力を発揮することを大きな役目として植栽されていることを指摘した。
A2関西剛康(南九州大学大学院)足利将軍2代義詮と3代義満の武家庭園における王朝文化の修得と発展足利将軍2代義詮と3代義満が武家庭園を通じて王朝文化を発展させた過程を調査。その結果、義詮は公家階級との交流から庭園文化の基礎を築き、義満は永徳元年の後円融天皇の室町第行幸を実現。元享4年の北山第行幸を先例とする「三舟の才」を含む格式高い催しを通じ、王朝文化との融合を象徴する成果を示した。
A3西村公宏((株)高島テクノロジーセンター)大阪山草倶楽部幹事 田中秀三郎の事績について 本発表では、昭和初期の大阪山草倶楽部の会誌等より、幹事であった田中秀三郎の事績をたどり、田中が実生より育てることで、市内においても大概の洋種高山植物は栽培可能であると主張したこと、ロックガーデンについても、自身の経験より、土質、材料、採光等に留意した回遊式のロックガーデンを提唱したこと等を指摘した。
B. 造園材料・施工および管理
No.発表者発表題名要旨
B1篠﨑圭太郎(南九州大学環境園芸学部附属フィールド教育センター)・日髙英二(南九州大学環境園芸学部)・松島大樹(南九州大学環境園芸学部附属フィールド教育センター)日向景修園の樹木管理確立への基礎研究日向景修園の課題の一つである樹木管理方法構築の為、クロマツ移植木の現状調査を実施した。外観診断で衰退度評価を行い、樹木内部診断器のドクターウッズを用いて診断を実施した結果、腐朽が確認された。本調査は名勝登録に向けた重要なステップとなり、今後は定期的な評価と適切な管理策を提案し持続可能な管理を目指す。
B2河田涼士(スターフィールド株式会社)・入江彰昭(東京農業大学)・井上和也(産業技術総合研究所)茨城県を対象とした衛星データを活用した広域的な竹林分布図の作成我が国の竹林は拡大化とイソプレン発生源とされその対策が急務である。本研究では茨城県を対象に広域的に拡大した竹林分布を把握するため衛星データを用いた竹林分布図の作成を行った。作成された竹林分布図を現地踏査等で検証した結果、既存の植生図(第6・7回)よりも正確に竹林の位置情報と面積を取得するができた。
B3日髙英二(南九州大学)宮崎県における小学校に生育する巨樹・古木の利用と保全状況 宮崎県内の小学校に対して校内に生育する巨樹・古木の現状についてアンケート調査を行った。回答のあった小学校の7割に巨樹・古木が現存しており,巨樹の活用は学校のシンボルや休憩所が多かった。巨樹を環境教育の教材としている小学校は少ないが,多くの学校で児童への影響は大きいと思われて。保護・保全活動は周辺の掃除程度で,大掛かりな対策をしている学校は少なかった。
B4後藤 香奈・ 稲本 雄太・ 太田 陽介・ 鷲田 悟志・ 和田 貴子(植彌加藤造園株式会社)・ 加藤 友規(植彌加藤造園株式会社、京都芸術大学大学院)名勝渉成園におけるチョウ類群集と環境評価名勝渉成園は都市部にくらす生物達の貴重な生息地となっている可能性が示唆されている。生物と庭園管理の視点からチョウ類に着目し2020年8月から2023年7月にかけて環境調査を行った。確認したチョウは5科26種535個体であり園内の様々な環境は市内の点在する緑地として役割を果たしている可能性があると示唆された。
B5鈴木孝彦・大島佳保里・上柳燎平(戸田建設)地域性在来植物ビオトープにおける動植物相の3年間のモニタリング報告当ビオトープは、2018年11月に約200㎡(池約35㎡)を造成し、2021年に拡張。全体約500㎡、池約75㎡の規模です。植栽は、つくば市周辺の水田や樹林地から調達したシラカシやコナラなど、地域性在来植物のみで構成。地域の生物多様性の保全と景観形成を目指し、2か月に1度モニタリングを行い、今回は途中報告になります。
B6日比野龍眞・入江彰昭(東京農業大学)婚礼施設におけるフラワーロスの利活用と社会との可能性本研究では未だ明確にはなっていないフラワーロスの定義とその範囲を明らかにし、婚礼施設の花の利活用を明らかにした。フラワーロスとは花を採花し出荷する段階から最終的な使用用途に用いられる段階までに発生した使用されなかった花と定義され、婚礼で使用された花の利活用として地域社会との連携の可能性が示された。
B7神山歩美・入江彰昭(東京農業大学)・大塚淳一(株式会社グリーンディスプレイ)ボタニカルライト(植物による発電)を用いた緑化植物の検討と防災利用の可能性都市のグリーンインフラとしてボタニカルライトを用いた緑化植物の違いによる発電の違いや災害時の利用などの知見を得ることを目的とした。その結果、植物の種類(高木・低木・地被、落葉・常緑)によって電圧値に違いがあること、およそ半日で単三電池の充電が完了することが明らかになった。
B8牧田直子(南九州大学)・大隣昭作(福岡大学)UAVを活用した宿根草ガーデンの3次元記録方法の検討ナチュラルガーデンは宿根草や多年草を用い、長期的に維持管理することで四季の変化を楽しめるが、管理は管理者の力量に左右されやすく、記録方法も確立されていない。そこで本研究では、UAVを用いてガーデンの3次元モデル化を行い、他の管理方法と比較してそのメリット・デメリットを明らかにする。
B9嵩下遼・入江彰昭(東京農業大学)・田崎一宏(前田道路株式会社)街路樹のグリーンインフラとしての多機能性の調査研究―主に雨水集水と熱環境改善に関して―本研究は街路樹のグリーンインフラとしての多機能性としてケヤキH17mC2.0mW8.9m、モミジバフウH10mC1.1mW3.7m、イチョウH17mC0.7mW1.7mの雨量に対する樹幹流による雨水集水、樹木緑陰下における低減効果を明らかにし、雨水貯留材の植栽基盤への貯留潅水、熱環境改善を検討した。
B10向井一洋(竹中工務店技術研究所)・向山雅之・野間慎司(竹中工務店設計本部)、尾崎昂嗣(アールアンドユー・レゾリューションズ)低浸透地におけるレインガーデンの雨水流出抑制効果の評価事例傾斜地に位置する研修宿泊施設の敷地内に、貯留規模16m3のレインガーデン設置し、約8カ月の降雨量、流出・流入流量の計測結果より、レインガーデンの雨水流出抑制効果を評価した。浸透能が低い場所であったが、降雨強度80mm/hrの降雨に対して約20分の流出遅延、約50%のピーク流量低減等、一定の流出抑制効果が確認された。
B11當内匡・野口よしの(株式会社庭樹園)・田﨑一宏(前田道路株式会社)・入江彰昭(東京農業大学)長居公園における雨水貯留材を用いた植栽基盤整備工法について大阪市長居公園の改修工事にて、植栽した樹木が大きく健全に生育し、豊かな生態系サービスを供給するよう舗装の下に雨水貯留材を用いた植栽基盤を設けた(公共空間では日本初)。また、周辺の舗装を透水性舗装へ変更し冷却効果を高め、表面排水も植栽基盤に誘導し、都市洪水防止など幅広いグリーンインフラ機能をめざした。
B12田﨑一宏(前田道路株式会社)・入江彰昭(東京農業大学)雨水貯留材を活用した植栽基盤改良技術の社会実装化について都市樹木の根系保護材として路床の一部を樹脂製雨水貯留材で置き換える耐圧植栽基盤工法について、これまでの研究により樹木根系の成長促進が認められた。貯留材は軽量であり、人力・短時間施工のため迅速な交通開放も可能である。本工法の社会実装段階への移行にあたり、工程・費用を中心に具体的な事例を紹介する。
B13山本聡・樋上啓子・尾田顕子・金原淳一・光成麻美(兵庫県立大学/兵庫県立淡路景観園芸学校)現地施工を伴うガーデンショー出展と授業との関係についてガーデンショーなどの花みどり関連イベントについて、授業を活用した出展をおこなう際の課題について検討した。デザイン面では、学生の指向性と社会のニーズのマッチングの重要性、期間が限定されるといった制約があることへの理解、施工面では、デザインと施工性との関係などが特に重要であると考えられた。
B14佐藤 健・入江彰昭(東京農業大学)杉並桃井原っぱ公園を事例とした樹林地の防火機能に関する調査研究本研究は杉並区立桃井原っぱ公園の樹林地を対象に樹木の含水率を夏(6月)、秋(10月)に調査した結果、イチョウやユズリハ、コブシの葉の含水率70%以上と高く、落葉樹は10月より6月が高く、常緑樹ではあまり変化がみられなかった。さらに葉の含水率からみた樹林地の防火機能を作成し、公園全体の防火性を評価した。
B15遠藤拓郎・入江彰昭(東京農業大学)富士山清掃登山におけるごみの現状と課題本研究はごみ拾いSNS ピリカを用いた富士山清掃登山におけるごみの種類と分布を明らかにし、今後のごみ対策を考察した。7/26と9/8の富士宮口登山道上で1006個のごみが回収され、山小屋や元山小屋付近に過去ごみ類が多くみられた。登山用ストック類のごみが目立ち登山用金剛棒の使用が望ましいと考えられた。
B16公益財団法人 東京公園協会 公園事業部 「防災公園グループ」・多摩部戦後80年XRを使った歴史探訪多摩地区の都立公園には、先の大戦時の航空機に関する軍事施設や軍需工場の遺構を留める公園がある。東京都公園協会は、これらの公園を結び、戦争の歴史を地域と子ども達に伝えるイベントの開催等に取り組んでいる。戦後80年を契機に、XR技術を活用し携帯端末を通じて当時の様子を伝えるコンテンツを開発したので紹介する。
C. 造園計画(庭園計画,公園計画,風景計画)
No.発表者発表題名要旨
C1関根さとみ・黒田乃生(筑波大学)国立公園管理計画から見た自然景観に支障のない色彩について本研究は国立公園における「景観に支障のない」工作物の色彩を明らかにすることを目的とする。日本の国立公園管理計画72件を分析し、環境省が自然景観に調和すると考える色彩の傾向を定量的に示した。自然素材の使用が最も多く、着色する場合は灰色、焦茶色、茶色等が推奨されていたことが明らかになった。
C2竹田桃子・福井亘(京都府立大学大学院)京都市・梶井町における近代別邸群の形成と東山を望む風景計画に関する研究近世まで公家町であった上京区梶井町は,明治中期から昭和初期にかけて,実業家や宮家の別邸が築造された。空間の特徴としては,大文字山を含む,東山三十六峰を望むための座敷や庭園が設けられていたことが挙げられる。また,茶会や園遊会の開催といった,文化的な交流の場とされていたことが明らかとなった。
C3日下田貴彦・竹内智子(千葉大学大学院)浜離宮恩賜庭園における潮入りの操作に関する研究浜離宮恩賜庭園の潮入りの池を対象に、最近10年の毎月の水質データおよび通年の作業日誌を整理・分析し、管理者にヒアリングを行った。その結果、水門操作は鑑賞価値の維持のために干潮時前後に集中していること、水門管理が体系化されていないこと、環境変化により潮入り機能の維持が困難になる可能性が明らかになった。
C4中右麻衣子、清水一史、菊田宏志、鈴木章浩、山口博喜(森ビル株式会社)東京都心市街地大規模再開発における高木植栽樹種の考察森ビル株式会社は東京都港区で大規模な市街地再開発事業を進める中で、建物を高層に集約することで都市緑化に取り組んできた。1986年竣工のアークヒルズから、六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズ、2023年竣工の麻布台ヒルズまで、約40年間の再開発事業において採用した高木を通観することで、時代に応じた都市緑化の特色等を考察する。
C5早川喬士・松尾薫・加我宏之・武田重昭(大阪公立大学)駅前広場における緑地のリノベーションに関する研究―リノベーション・神戸を対象として―神戸市の「リノベーション・神戸」プロジェクトを対象に、駅前広場における緑地の計画・設計のあり方を考察した。プランニング特性としては、車のための交通空間から歩行者のための歩行・交流空間への転換が進んでおり、デザイン特性では、緑地が持つ効果を最大限に発揮する植栽設計のあり方を明らかにした。
C6松島肇・徐梦林・佐藤舜紀・EeHung Khew・中山隆治・愛甲哲也・上田裕文・小林国之・石黒侑介(北海道大学)北海道東部における自然草原の保全に向けた課題の整理自然草原はその希少性にも関わらず保全が十分とは言えず、農地への転換や太陽光発電施設の設置による損失が懸念されている景観である。本報告では、保全に向けた課題と展望について整理し議論する。
C7森岡 千恵・金 甫炫・飯塚 康雄(国土交通省 国土技術政策総合研究所)点群データを用いた3次元樹木モデル作成の試行本研究は、公園緑地や樹木の計画や設計、施工、維持管理等に使用可能な3次元樹木モデル(ポリゴン)の作成手法を検討することを目的として実施した。
モデルの作成手法は、既存樹木や圃場に植栽された樹木でも活用可能な簡便な手法とし、樹木の点群測量結果を用いて3次元樹木モデルの作成を試行した。
C8飯塚 康雄・金 甫炫・森岡 千恵(国土交通省 国土技術政策総合研究所)樹木の成長データを用いた3次元樹木モデル作成の試行本研究は、樹木の成長を踏まえた公園緑地の計画や樹木の計画、又は維持管理等へ活用が可能な3次元樹木モデルの作成手法を検討することを目的に実施した。樹木モデルの作成は、樹木の成長を表現するために樹木の成長データと樹木のイラスト図を用いることとし、簡便に作成可能な手法を検討した。
C9山下 惟(株式会社アイ工務店)・赤澤宏樹(兵庫県立大学)・川口将武(大阪産業大学)泥団子づくり体験による感情の変化本研究は、公園イベント来訪者を対象にしたアンケート調査から泥団子づくり体験前後での感情変化の分析を行った。その結果、感情状態尺度の平均評価点の得点差をみると、「親和」「非活動的快適」のポジティブ感情が大きく増加し、「敵意」のネガティブ感情が減少した。以上から泥団子づくりは体験者の心を癒す作用があり、環境教育や公園イベントプログラムとして可能性があるといえよう。
C10濱久保衛・伊藤弘(筑波大学)都道府県による国定公園管理の実態と課題に関する研究-取組の把握と管理計画の分析を通じて-本研究では都道府県が独自に管理を行っている国定公園制度に着目し,その管理に関する取組の実態を把握することを目的とした。都道府県を対象に管理の取組状況や管理計画の策定状況を把握するためのアンケート調査を実施するとともに管理計画の分析を行い,国定公園管理の現状と課題を明らかにすることで今後の望ましい管理のあり方について考察した。
C11窪田琉未・入江彰昭(東京農業大学)公園におけるウェルビーイングの快適性の定量的把握について~砧公園を事例に~本研究では公園利用者の景観特性と物理的要素、緑視率、WBGTによる暑さ指数、緑陰を明らかにし公園におけるウェルビーイングがもたらす快適性を定量的に把握し、その空間特性を明らかにした。その結果、砧公園における快適空間の特徴として樹林を背にし前面に眺望のよい開放的空間、いわゆる後山前水庭の空間であった。
C12藤本美晴・竹内智子(千葉大学大学院)多年草植栽の公共花壇の変化と花期の比較本研究は,都市公園の花壇の植栽手法の違いによる利点と課題を明らかにすることを目的とする。代々木公園の多年草と一年草の花壇を対象に約2年間の定点観察と植栽図の作成、各管理者へのヒアリングを行い,植物の変遷や管理方法,コストを比較した。その結果,手法ごとのコストや必要な知識と技術,人員が明らかとなった。
C13松田彩・大島卓(札幌市立大学大学院デザイン研究科)北海道北斗市トラピスト修道院における三木露風の文学作品からみたサウンドスケープの特徴北海道トラピスト修道院で文学講師をしていた三木露風の文学作品から当該地域の1920年代の音環境及びその認識を明らかにする。
作品の分析結果から修道生活における「沈黙」によってもたらされた「静寂」の音環境と鳥の声や波の音、鐘の音が重なり合う豊かな環境音の応答が当該地域のサウンドスケープを形成してきたといえる。
C14
安達圭吾(北海道大学大学院農学院)・松島肇(北海道大学大学院農学研究院)
北海道大学札幌キャンパスにおける生態系サービスの評価北海道大学札幌キャンパスにおいて緑地が提供する環境貢献や社会貢献を調査するため、キャンパス内緑地による生態系サービスの定量化を行った。方法は大きく3つに分けられ、i-Tree ECOとi-Tree Canopyを用いた樹木による生態系サービスの測定、地表面温度計測による温度低減効果の検証、利用者調査による文化的サービスの計測を実施した。
C15寺田光成(日本体育大学)・ERMILOVA Mariia・鹿野晶子・野井真吾環境問題を踏まえた東京都の小学校校庭の利用制限と対応策本研究は、近年の暑熱環境の深刻化や都心への人口過密による児童数増加に伴う校庭利用制限の実態を明らかにすることを目的とした。東京都公立小学校1258校を対象にアンケート調査を実施し、439校(35%)から有効回答を得た。調査の結果、ほぼすべての学校がWBGT測定を実施し、8割以上が測定値に基づく校庭利用制限を行っていた。また3校に1校で著しい児童数増加がみられ、約3割の学校が休み時間の校庭利用を制限していることが明らかになった。
C16ERMILOVA Mariia(日本体育大学)・寺田光成・鹿野晶子・野井真吾Heat-Related Schoolyard Restrictions in Tokyo Elementary Schools: Analysis of School Nurses’v MeasurementsThis study aimed to clarify the current state of schoolyard use restrictions due to worsening summer heat conditions. We obtained WBGT data from the Japan Meteorological Agency to calculate time periods with high likelihood of usage restrictions, and requested seven school nurses in neighboring schools in Setagaya Ward, Tokyo to record schoolyard use restrictions. Results showed that while there were similarities in regulations based on WBGT measurements across schools, decisions were ultimately made on a school-by-school basis.
C17王軍(株式会社文化財保存計画)・矢作岳(千葉大学大学院園芸学研究院/風景芸術研究所)遺跡活用における遺構表示方法に関する調査研究―東京の遺跡公園整備事例を中心に遺跡における遺構はその姿や空間を地上に表示し、地域のシンボルや公園として活用され、遺構表示方法は遺存状況や立地環境によって様々工夫が行われている。本研究では、遺跡公園整備における遺構表示手法を体系的に整理することで、遺構表示手法の可能性と遺跡整備の質向上に資する資料を目指す。
C18北岡真吾・愛甲哲也(北海道大学)・寺坂崇(まなびデザイン)北海道大学で遊び場を開いてみたら ~「北大プレーパーク」からみる大学キャンパスの緑地活用の可能性と管理運営の課題~北海道大学札幌キャンパス内の緑地「中央ローン」は、隣接地にこどものための図書館施設の開館を控え、管理運営の対応が求められる。中央ローンで開催したプレーパークを通し、半公共空間である大学キャンパスの緑地の管理運営の課題と、課題解決の先に見込まれる大学運営や地域・社会に対する価値創造の可能性を考察した。
C19Dyah Ayu Pangestuti・Nobu Kuroda(University of Tsukuba)Innovation for Inclusion : Study on Tactile Guide Book of Heritage Sites for Visually Impaired VisitorsEver since physical accessibility became mandatory in Japan in 1994, public buildings and museums have improved, with information accessibility follow through. However, heritage sites remain a challenge to navigate, especially for visually impaired visitors. While Braille and audio guides aid inclusivity, they often fail to convey a complete spatial and historical narrative. This study aims to analyze existing cases for developing a tactile book that enhances engagement through shapes and textures rather than relying solely on Braille. By combining tactile storytelling, the guide seeks to offer a more immersive, intuitive experience and encourage deeper connections between visually impaired visitors and heritage sites.
C20髙森万貴・相澤章仁(株式会社大林組)イベント実施によるオープンスペースの滞留状況の変容-品川セントラルガーデンを事例として-イベント実施によってオープンスペースの滞留状況にどのような影響があるかを検証するため、品川セントラルガーデンを対象としてイベント前後の滞留状況を比較した。滞留者数は日常時より3.8倍に増加し、利用者層の多様化もみられた。イベント時に最も多く確認された滞留者の行動は会話であり、日常時より6.9倍に増加した。
C21岡未来・福井亘(京都府立大学大学院)・高林裕(神戸女学院大学)源氏物語における表現からみた鳥類の文化的価値の整理鳥類は,音楽や美術,文学などを通して生態系サービスの一つである文化的サービスを提供してきた。鳥類の文化的価値を具体的に認識するために,文学作品における鳥類の表現に着目した。本研究では,平安時代の代表的な文学作品である源氏物語を対象とし,和歌に詠まれた鳥類と和歌以外に描写された鳥類の表現を整理した。
C22内田裕菜・福井亘(京都府立大学院)・高林裕(神戸女学院大学)八代集の和歌表現に見る鳴く虫の生息条件と鳴く虫に対する歌人の認識の分析本研究では,鳴く虫への関心が高かった平安時代ごろの鳴く虫が詠まれた和歌の表現から,鳴く虫の生息条件を種類別に分析し,鳴く虫に対する当時の認識を把握することを目的とする。鳴く虫の名称に関する文献調査を踏まえ,八代集の和歌を対象に現在の種との比較を行った。さらに種類ごとの生息条件や認識の違いを調査した。
C23Liao Yuhui (千葉大学)Unlocking the Potential of Community Micro-Spaces: A Case Study from Changsha, ChinaThis study explores how community micro-space interventions can address child development and social integration amid shrinking outdoor spaces and increasing community alienation due to rapid urbanization. Conducting an action study in Fengquangujing Community, Changsha, China, the research highlights children’s active roles in garden creation and their impact on landscape quality and social connectivity. Findings suggest that community gardens serve as a platform for multi-stakeholder governance, with children as key catalysts in revitalizing communities. The paper identifies key elements for sustainable community micro-spaces and proposes strategies for institutionalizing children’s participation and building long-term governance networks.
C24中口敬太(笠間市都市計画課)・小川芳朗・平林大河(東日本総合計画株式会社)・雨宮護(筑波大学)笠間市における公園等適正配置計画策定に向けた検討事例笠間市においては、近年の人口減少、少子化、高齢化に伴い、公園利用者の減少や地域による管理の困難化、施設老朽化による維持管理費の増加といった課題が顕在化してきている。本計画は、地域のニーズに即した公園のあり方や適切な公園配置を定めるもので、検討中の適正配置の方針や公園等の評価方法について発表する。
D. 都市および地方計画
No.発表者発表題名要旨
D1金子武史、井上 雅樹、新村 祐太、柴田 知己(NEXCO西日本)、吉永浩一郎、石黒美穂(NEXCO西日本エンジニアリング九州)北熊本SAリニューアル事業における造園工事について北熊本SAの上り線を2024年12月18日、下り線が2025年3月27日にリニューアルオープンした。リニューアル事業は1971年の開通以降初めてであり、これまでの運用における課題を踏まえて全面的に改良を行った。本発表では、この事業の造園的観点について報告する。
D2河嶋由羽・雨宮護(筑波大学)周辺環境から見た公園の評価における人流データの有用性:笠間市の公園等適正配置計画を事例に社会変化・ニーズ変化への対応のため、公園やその周辺環境の現状や課題を客観的に把握・分析する必要がある。本研究では、シミュレーションにより生成された人流データを用いて、公園周辺の滞在者数、就業状態、活動内容、年齢層の時間推移を把握した。その結果、公園ごとの特徴が見られ、データの有用性が示された。
D3小林大起(元金沢工業大学)・片桐由希子(金沢工業大学)放置竹林対策における竹林オーナー制度の運用状況近年深刻化する放置竹林問題に対し、竹林オーナー制度の運用実態を分析した。制度は管理促進や市民参加に有効だが、劣化竹林の改善には限界があり、専門的支援と参加しやすい環境整備が今後の課題である。
D4伊藤渚生(日建設計総合研究所)グリーンインフラのポテンシャル評価と優先整備地域の推定2011年から2022年にかけての土地利用の変化を分析し、グリーンインフラのポテンシャルが高い地域を特定するとともに、人口の増減を考慮することで、今後優先的にグリーンインフラを増進すべき地域を推定する。さらに、この情報をもとに、持続可能な都市・地域づくりに向けた方策を検討するための基礎資料とすることを目的とする。
D5小林雅果・大島卓(札幌市立大学大学院デザイン研究科)札幌の地域特性を踏まえたカフェ環境の分析とその活用方策に関する研究札幌市のカフェを対象に、利用者の行為やニーズを調査・分析し、環境構成要素を整理した。カフェは単なる飲食の場を超え、多面的な広がりを持つことが明らかになった。特に光環境や地域特性など、屋内空間にとどまらない要素がカフェの構成に影響を与えており、利用者の快適性や滞在行動にも関わっていることが示唆された。
D6礒部ひかり・福井亘・植地俊輔(京都府立大学)宅地形成と植栽景観からみる琵琶湖疏水分線周辺環境について琵琶湖疏水分線の白川水道沿いの植栽景観と周辺空間の形成過程を分析し、開発当時から現在に至るまでの宅地形成と植栽景観の関連性を明らかにした。また、植栽景観について現地調査の結果からGISを用いた分析を行い、植栽の種類と分布を把握することで文献との整合性を確認することが出来た。
D7西尾菜摘・轟慎一(滋賀県立大学)千里ニュータウンの成熟・更新と地域コミュニティの持続性近年、千里ニュータウンでは高齢化が進行している一方、子育て世帯の入居が見られる。街の変遷により地域とのつながりを今後いかに維持・継承していくのか、また、地域住民が地域コミュニティに関してどのような意識を持っているのか把握するため、地域活動に関する調査、コミュニティ空間の観察調査を行なった。
D8鷲見泰弘(東京都環境科学研究所)・横田樹広(東京都市大学)・上野裕介(石川県立大学)東京都23区内の都市緑地に対する都民意識の実態把握都市緑地法の改正に伴い、 都道府県レベルで緑の質と量を確保するための広域計画の策定が推進されている。一方、現代社会では人々が都市緑地に求める機能や価値観は多様化している。本調査では、東京都23区内在住の都民5000名を対象として、WEBアンケートにより、都市緑地に対する満足度などの意識を明らかにする。
D9金 甫炫・飯塚 康雄・森岡 千恵(国土交通省 国土技術政策総合研究所)公園計画へのBIM/CIM導入に関する基礎的研究本研究は、造園分野へのBIM/CIM導入の可能性やその際に必要な情報等を検討することを目的に実施した。そのため、小規模の公園モデル(簡易3次元モデル)の作成を試行するとともに、BIM/CIMを導入する際に必要な要素(オブジェクト)や主な属性情報、階層構造(オブジェクトツリー)等について検討を行った。
D10来田玲子(札幌市立大学デザイン研究科博士前期課程)・大島卓(札幌市立大学)死考と弔いを醸成する空間-かれたとて、いま-近代の社会構造の変化や都市的なライフスタイルの拡がりの過程で、死の問題が大きくなっている。村が解体した日本社会において、いかにして弔いの持続性を取り戻すか。自身に必ず訪れる死とどう向き合い、いかにして生を豊かにするか。これらの問いに対して、社会学や民俗学の知見を参照し、未来における弔いの場を提案する。
D11村上侑眞・伊藤弘(筑波大学)堺市の都市整備における百舌鳥古墳群の残存過程堺市においては、戦前・戦後を通じて、古墳の消失を伴いながら都市のインフラ整備が進められたことがわかった。古墳を保護することよりも交通インフラなど 都市環境の効率性向上が優先であったことが考えられる。現在は、古墳の緑豊かな景観を意識した計画が策定され、風致公園などの整備が行われている。
D12榎本碧・増澤諭香・福島宏文(国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所)航空写真と深層学習を活用した街路樹の効率的なデータ把握方法の検討街路樹管理では、樹木個別の状況把握が管理の質向上に不可欠である。しかし全国の道路管理者が管理する高木は100万本超に及び、橋梁など他の公物と比較しても毎木管理の実施は困難である。本研究では毎木管理の第一歩として、航空写真と深層学習を活用し、樹木の位置と樹冠の初期データを効率的に把握する方法を検討した。
D13小田龍聖・高山範理(森林総合研究所)・八巻一成(森林総合研究所 関西支所)大都市住民による森林の利用状況 ‐東京23区民が訪問する森林はどこにあるか?‐東京23区に居住する5000名を対象として、過去1年間の森林への訪問頻度および実際に訪問した場所についてのWEBアンケート調査を実施した。本報告では、回答者の約65%が一度も訪問しないという結果が得られた中で、それでも訪問者を集めた森林について報告する。
D14吉冨瑠夏(一般財団法人公園財団)・高瀬唯(茨城大学農学部)自然が多い地域における自然体験の伝承行動の実行に関する規定因の検討昨今、自然体験の減少を引き起こす「経験の消失」が問題となっている。解決策として自然体験の世代間伝承が挙げられる。本研究では、地域での自然体験の伝承の実行に関する規定因を明らかにするため、自然が多い地域で伝承経験がある市民12名へインタビューを実施し、グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析を行った。
D15永松明奈(株式会社リクルート)・伊藤弘(筑波大学)近代以降の郡上八幡におけるまち変化と郡上おどりの継承の関係に関する研究本研究は、岐阜県郡上市八幡町における近代以降のまちの変化と、郡上おどり保存会設立以降の、郡上おどりの開催場所の関係を整理した。結果、まちの都市化及び観光地化、郡上おどりの観光化に伴って、複数の寺社や町中で行われていた異なる祭礼や行事が「郡上おどり」として統合・保存される一方、開催場所が同質化したことが明らかになった。
D16越智楓・竹内智子(千葉大学大学院)平成期以降の東京湾における護岸形態に関する研究東京湾岸を対象に平成期以降の大規模開発の歴史的変遷を整理した。現地調査等により護岸形態を外観により分類、背後地の土地利用と水辺へのアクセス性を調査、護岸形態と高潮浸水想定区域図と重ねて分析した。その結果、平成期に親水性の高い護岸が増え、隅田川等のスーパー堤防が高潮対策に有用であることがわかった。
D17植地俊輔・福井亘(京都府立大学大学院)・小宅由似(香川大学)・水野晴之・野上一志・當内 匡・宇田川健太郎・本山圭一郎・安田卓宏(街路樹診断協会)京都と北九州におけるケヤキ街路樹の生育状況と生態系サービスに関する比較分析本研究では,京都市御池通と北九州市清張通におけるケヤキ街路樹を対象に,毎木調査により樹木サイズや生育状況を把握し,i‐Tree Ecoを用いて生態系サービスを評価した。2都市間におけるケヤキの生育状況や生態系サービス評価値の違い,およびその影響要因を分析し,今後の街路樹管理に資する基礎的な知見を得た。
D18谷内翔太(茨城大学大学院農学研究科)・高瀬唯(茨城大学農学部)人々の幸福度とグリーンインフラストラクチャーの関係に関する日本の研究動向近年,人々の幸福度を考慮した地域づくりが推進されているが,幸福度を指標としたGIの活用はあまり普及していない。幸福度を指標にするには,幸福度とGIの関係に関する知見を整理する必要があると考えた。したがって,本研究では,幸福度とGIの関係に関する日本の既往研究を対象としたスコーピング・レビューを実施した。
D19江口亜維子, 花里真道, 岩崎 寛(千葉大学)歩道における住民参加型エディブル・ランドスケープの実践筆者が代表を務める市民活動団体では、行政との連携により、歩道に設置されたプランターで、住民参加型のエディブル・ランドスケープを実践している。本発表では、参与観察により導入から実施までのプロセスを分析し、公共空間におけるエディブル・ランドスケープの展開と地域のウェルビーイング向上への可能性を探る。
D20二宮稜太・松尾薫・加我宏之・武田重昭(大阪公立大学)Park-PFIにおける収益施設の整備特性に関する研究 -近畿圏の都市公園を対象に-近畿圏の都市公園を対象にPark-PFI制度運用の実態と現状を把握し、今後のあり方を考察した。本制度は公園の規模や種別に依らずに導入されており、財政面での貢献とともに維持管理・運営計画やその実施体制が重視されていた。収益施設は周辺環境との調和や整合が求められ、配置やデザインで建物と公園との一体感が確保されていた。
D21今村麻菜美・松尾薫・加我宏之・武田重昭(大阪公立大学)制度と実態から捉える公園ボランティアの活動推進の可能性本研究では大阪府下の自治体を対象に公園ボランティアの制度内容と活動実態を把握し、その課題と可能性を探った。幅広い主体が参加することができる仕組みや花壇の手入れ等の魅力ある活動内容、近隣施設との連携によってボランティア活動の推進が期待できる一方で、技術支援の不足や市民の関心の薄さが課題となっている。
D22北西愛・松尾薫・加我宏之・武田重昭(大阪公立大学)InfoWorks ICMを用いた石津川流域における雨水流出評価モデルの構築本研究では、公園緑地系統を持つ泉北ニュータウンと良好な農地が保全される旧村地域を含む石津川流域における緑地を一体的に評価するため、InfoWorks ICMを用いて雨水流出評価モデルを構築した。外水氾濫を高い精度で再現できたが、ため池付近での溢水が多く、流域全体に浸水が見られるなど、モデルの課題も明らかになった。
D23永田 裕(熊本市都市政策研究所)•尹 紋榮 ・石井 裕子(一般財団法人公園財団 公園管理運営研究所)街区公園における住民主体の利活用に係る参加者・出店者の実態と意義本研究では10年以上にわたり地域主体が地域連携しながら開催している「鳥井原公園 四ッ角マーケット」を調査研究対象として、
参加者・マーケット出店者アンケートにより実態や認識を把握する。
さらに既報や調査結果から得られた知見をもとに、地域における当該取組の意義を考察する。
E. ランドスケープ・エコロジー
No.発表者発表題名要旨
E1崔麗華・國分優孝(東京都環境科学研究所 気候変動・環境エネルギー研究科)・髙林裕(神戸女学院大学 生命環境学部生命環境学科)・福井亘(京都府立大学大学院 生命環境科学研究科)野鳥生息地としての多摩地域二次林の環境に関する考察東京都多摩地域の二次林2エリアで繁殖期の鳥類モニタリングを実施した。各エリアにそれぞれ5つの調査地点を設置し定点調査を行った。対象二次林およびその周辺環境の特性と鳥類の種数や個体数の関連性を分析し、二次林の鳥類多様性保全や希少種の生息地提供の役割を考察した。
E2村上健太郎(北海道教育大学函館校)市街地路傍の石積み壁に生育する稀少な岩上生シダ植物の事例歴史的な建造物が残る市街地に残存する人工的な石積み壁に,キンモウワラビ及びヒメウラジロ(ともに絶滅危惧種;岩上生シダ植物)が生育していた事例について報告する。これらの種を生育可能にする環境要因の特定には至っていないが,中程度の攪乱がこれらの個体群維持に役立っている可能性がある。
E3木村圭一・今藤夏子・土屋一彬・角谷拓(国立環境研究所)レクリエーション利用される森林において植生区分と生育環境で細菌叢に差異はあるのか?森林の細菌叢はその生態系機能を担うのみならずヒトのアレルギー疾患にも影響する可能性が指摘されるため、ヒトの利用が見込まれる森林での細菌叢の把握はそうした多面的機能を理解する上で重要である。本研究ではレクリエーション利用される二次林および人工林の土壌、リター、大気に注目してこれらの細菌叢を比較した。
E4XU MENGLIN (北海道大学)・松島肇 (北海道大学)Spatial differentiation of urban thermal environments in climate vulnerable zones and equity in the distribution of summer shelter resources–the case of Sapporo, a coastal region in the sub-frigid zoneIn the context of global warming, the spatio-temporal coupling of urbanization and extreme heat weather presents a dual challenge to urban thermal security, even affecting traditionally frigid and sub-frigid zones. This study examined the Sapporo region, a coastal city in the sub-frigid zone, to investigate the spatial differentiation mechanisms of the urban thermal environment and its relationship with the allocation of summer shelter resources. By integrating Landsat 8 remote sensing data, urban morphology parameters, and socio-demographic information, the research applied the Random Forest algorithm in conjunction with the SHAP model to reconstruct the spatial pattern of land surface temperatures, analyze the driving mechanisms, and explore the spatial relationship between the accessibility index of summer shelter facilities and heat exposure risk. These insights aim to optimize the spatial distribution of urban infrastructure, enhance urban climate adaptation, and promote deeper alignment with the Sustainable Development Goals (SDGs).
E5王茹詩(Chongqing Jianzhu College)・柳井重人(千葉大学)The Current Status and Challenges of Food and Agriculture Experiences for Elementary School Students in Urban Agriculture Parks in the Tokyo Metropolitan AreaThis research examines the status and challenges of food and agriculture experiences for elementary students in urban agriculture parks in the Tokyo metropolitan area. Field surveys and one-hour interviews with managers at six parks reveal that, despite rich agricultural resources, programs for students are limited. Most parks offer only one to two annual harvest sessions for nearby schools, while a few provide full experiences from planting to tasting. The non-profit nature of these programs challenges budget balancing. Additionally, insufficient resources, limited manpower, and aging facilities restrict dedicated experience facilities and specialized programs.
E6小柳知代(東京学芸大学)・山田晋(東京農業大学)利根川河川堤防における改修履歴と埋土種子相の関係全国的に消失が著しい半自然草原が成立する数少ない立地の1つである河川堤防には、改修履歴の違いによって様々な植生が成立している。本研究では、地上植生の種組成を左右しうる要因の1つである埋土種子相に着目し、改修履歴との関係を検証した。発芽試験の結果、改修された堤防では種数だけでなく個体数も少なく、草原性植物の供給源としての機能はほとんど無いことが分かった。
E7任 琬玥・木下 剛(千葉大学)Virtual Bonds, Real Impact: How Reality Shows Drive Pro-Environmental Behavior Through Mediated Place Attachment and Social Identity.Reality shows are essential for raising environmental awareness and behavior. Grounded in the Stimulus-Organism-Response model, this study integrates Social Identity Theory and place attachment to examine how the program Become a Farmer fosters pro-environmental behaviors by strengthening viewers’ social identity and mediated place attachment—a novel concept describing virtual emotional connections that transcend geographic boundaries. Structural Equation Modeling confirms that social identity and place attachment mediate the relationship between media stimuli and pro-environmental behavior response. This study demonstrates how reality shows convert environmental responsibility into behavior through virtual narratives, offering insights into the media’s role in advancing environmental sustainability.
E8上野裕介(石川県立大学/能登SDGsラボ)・Kim Bohyun・森岡千恵(国土技術政策総合研究所)「能登×GI復興」を考える研究会の立ち上げと今後の活動方針能登半島地震・豪雨からの復興を進める上で、能登の里山里海の現状把握とその管理・活用・保全に関する取組みが急務である。本地域の豊かな自然資本やGI/NbSを活用しつつ、災害に強く、安心安全で魅力的な能登地域を再生していくため、50名を超える産学官民金の有志による横断的かつ実践的な研究会を立ち上げ、活動している。
E9中山真里・ルプレヒトクリストフ(愛媛大学)野良猫の土地利用と人間の関わりから考える猫と人の共生猫と人が共生可能な空間設計への示唆を提供することを目的とし、本研究では、野良猫の行動範囲が給餌場周辺の環境特性、土地の選好性、人との関わり(餌の量・回数、人数)によってどのように変化するかを調査する。​さらに、行動範囲とランドスケープ特性(緑地、構造物、人間活動エリア)の関係性を分析する。
E10石中洋平(愛媛大学)・ルプレヒト クリストフ(愛媛大学)衛星画像を用いた光害影響測定方法に関する基礎的な研究及び提案都市化と照明普及で深刻化する光害は、生態系や健康への影響が懸念されている。地球規模での実態把握と定量的評価をより簡便に実施することが急務である。夜間衛星画像データと昆虫生息数データを統合解析し、光害の昆虫生息数に与える影響、経年変化を広域にわたり把握し、持続可能な社会への貢献を目指す。
F. 情報処理・知覚
番号発表者発表題名要旨
F1川口 遥(千葉大学)・岩崎 寛(千葉大学大学院園芸学研究院)自然音の聴取が電車混雑時におけるストレス緩和に与える効果混雑した電車内における自然音の聴取が乗客のストレス緩和に与える効果の解明を目的とし、実証実験を行った。その結果、普段通り(自然音無し)で乗車時は、混雑率が増えるとストレスが増加するが、自然音聴取時はストレスが緩和され、混雑率150%以下の場合、乗車前と同様の状態を維持することがわかった。
F2朝廣和夫(九州大学)国史跡水城におけるUAV-LiDARのファーストパルスを用いた林床点群密度と林冠被度の関係について本研究では地表面点群データの密度分布から調査区を選定し、現地での植生調査結果と照らし合わせることで地表面点群密度と林床植生との関係を見出すことを目的とした。点群データ密度を算出し、ラスタデータを作成した後、選定した調査区で植生調査と相関分析を行った。結果、地表面点群と林冠被度に負の相関が確認できた。
F3小野隆(公園からの健康づくりネット)・浦﨑真一(大阪芸術大学)・小栗大介・日高真吾(公園マネジメント研究所)・川口将武(大阪産業大学)樹冠被覆率と人流データを組み合わせた都市構造評価樹冠被覆率と人流データを組み合わせて、ウェルビーイングのための都市構造を分析する手法を開発した。都市において市民が緑に近接する程度を求められれば、その都市における緑への曝されやすさを数値化できる。これらの数値を用いて都市構造を評価することで戦略的な緑の配置等を検討することができる。
F4岩崎 寛画像認識AIモデルを用いた緑地空間歩行時の印象評価に関する研究―明治神宮および代々木公園における事例大阪大学で開発された街路空間において連続的に「居心地の良さ」や「歩きやすさ」といった感情状態を評価する画像認識AIモデル(AIHCE)を用いて、空間特性の異なる2か所の緑地(明治神宮と代々木公園)での歩行時の印象について検証した。その結果、各緑地における歩行時の連続的な歩行時の変化が把握できた。
F5山崎雅治(東京農業大学大学院)・國井洋一(東京農業大学)UAVにより取得した樹木のNDVIと炭素固定量の関係性について 樹木の光合成による炭素固定化は、CO2を吸収して木材内部に固定化することで排出量を削減し、脱炭素社会実現に有効な手段である。
 本研究では、樹木の炭素固定量を定量的に把握することを目的とし、UAVにより取得したNDVIと都市樹木の評価ツールであるi-Tree Ecoにより算出した炭素固定量との関係性を考察した。
F6山森千紗・松尾薫・加我宏之・武田重昭(大阪公立大学)Deep Learningを用いた緑景観評価システムの構築Deep Learningを用いて緑の構図を分類するモデルを3種類の方法で設計した結果、ResNet50を用いたものが最も高精度となった。また被験者実験によって緑の構図と緑視率の関係を捉えた結果、緑視率が高く中央型・両側型の構図である場合に評価が高くなった。これらの結果から緑景観評価システムの構築の可能性が示唆された。
F7大隣昭作・久保田倖生宿根草花壇における高性植物の3次元モデル作成について写真測量では難しいとされる風に揺れる高性植物が使われた花壇の3次元モデルを作成する際、一般的な方法では風に揺れてモデル化出来ないことががある
そのような場合にも写真と動画を組み合わせることで迅速に3次元モデルの作成することが可能となる本研究ではその手順と3次元モデルの活用について検討した
F8原田裕介・大宮哲・吉井昭博・榎本碧・松下拓樹(寒地土木研究所)道路防雪林の成長モデル作成に向けた樹木調査の解析北海道の道路防雪林(植栽1984~1994年、列間0.7~3.6m、苗間0.8~6.6m)の樹木調査を1994年、2015年、2024年に実施した。アカエゾマツの樹齢に対し、樹高と胸高直径は比例関係、生枝高さは林内木と林縁木で変化傾向が異なり、樹冠閉塞後の枝張りと枯枝高さに比例関係はみられなかった。
F9渡辺大貴(東京農業大学大学院 地域環境科学研究科 造園学専攻)・國井洋一(東京農業大学 地域環境科学部 造園科学科)樹木に対する剪定シミュレーションの開発に向けた研究樹木剪定において、管理者と事業者間では目標樹形や剪定方法の共有が重要視されている。本研究では、剪定前後の樹形の変化を直感的に把握することを目的として、樹木に対する剪定シミュレーションの開発を行った。結果として、剪定作業を仮想空間上で繰り返し模索することが可能であると考察される。